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インバウンド対策

2018.08.29

インバウンド観光客向け「モバイル決済」導入ガイド①

中国のモバイル決済の現状

現在の中国は、すでにキャッシュレス決済社会へと変容を遂げています。
中国はすでに世界最大の電子決済市場と認識されていて、2016年における電子決済市場は600兆円を突破し、米国(約13兆円)の50倍。
ほとんどの中国人は、クレジットカード決済や現金決済より、モバイル決済を活用するという統計データが出ています。

では、どうしてモバイル決済は、中国国内での普及に成功したのでしょうか?
中国人たちは、本当にクレジットカードを持っていないのでしょうか?
日本国内のように、「現金至上主義」にはならなかったのでしょうか?

中国でクレジットカードが普及しないワケ

中国でクレジットカード決済が一向に普及しなかった要因として
第一に、
一般生活者の日常の消費は衣住食、交通機関などに集中しており、それらを対象とした決済は必要な現金さえあれば事足りてしまう、というユーザー側の環境があります。
第二に、
また、店舗側の問題として、たいしてメリットが期待できないクレジットカード決済に、導入コストを負担してまで対応するはずも無く、社会的にクレジットカードシステムの整備が追いついていませんでした。
第三に、
キャッシュカード決済にはスキミング被害により本人の知らない間に多額の現金が引き出されたり、高額商品購入等に不正使用されるリスクが考えられます。
クレジットカード自体の盗難や紛失に加え、中国ではカード番号の流出など、日本で考えられる以上のセキュリティ対策が必要であることは残念ながら否めません。

一般的に,スキミングでは,「スキマー」と呼ばれる読み取り装置を,ATM等のカード読み取り口に巧妙に設置してカード情報を読み取るとともに,監視カメラ等で暗証番号の情報を得ているといわれています。
また,悪質な店舗等で,POS機での支払い時に,カード情報と暗証番号を巧みに読み取る手段もあるとされています。いったんカードがスキミングされると,極めて短時間のうちに多額の現金が銀行口座から引き出されてしまいます。

在中国日本大使館「キャッシュカードのスキミング等の被害について(注意喚起)」より抜粋・引用
ゆえにクレジットカードの使用は、中国で暮らす人々にとっては危険度の高い、煩わしいものとなってしまったのです。

店舗側にも問題(?)が

日本ではあまり考えにくいことですが、中国の小規模な店舗ではそもそも「釣銭準備金」をあまり用意していないということも少なくありません。
「おつり」がキャッシュフローに与える影響や、防犯上の手間、計算や手渡しの際の間違いが発生しないことも、商売の規模に関係なくモバイル決済が受け入れられた要因の一つです。

朝食を買うために出かけても、おそらく小さな個人商店、路地の屋台ではクレジットカード決済に対応しているレジはないでしょう。
しかし、店員は必ずスマートフォンは持っています。
レジシステムよりもスマートフォンのほうが普及してしまった中国社会では、いまさらレジを用意するより前にスマートフォンのアプリが解決してしまったのです。
スマートフォンは、中国人にとって新たな利便性をもたらし、逆にその手軽さゆえに、中国の多くの人々はスマートフォンに依存してしまう構造ができてしまいました。
中国におけるモバイル決済の普及はその最たる存在と言えます。
路面にある大小様々な商店はすべてモバイル決済に対応していますし、一説には路上で物乞いをする人たちでさえ、首にぶら下げたQRコードで憐憫を誘うと言われます。

爆発的なスマートフォンの普及

中国では、クレジットカード決済が社会のインフラとして成立しなかった間にも、携帯電話(スマートフォン)は生活に不可欠な情報インフラとして急速に普及してゆき、その利活用ユーザーをベースするモバイル決済は誕生した時点ですでに膨大な利用者数を獲得することに成功していました。

中国は、パソコンによるインターネット通信の普及が遅れた結果、一足飛びにスマートフォンによるコミュニケーションが一般化した社会です。
パソコンが高価で買えなくても、格安スマホなら手に入れることができる。
そういったユーザーの唯一の電子機器として、スマートフォンが日常生活のあらゆるシーンで利用されています。
そのスマートフォンに機能追加される形で、支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)、QQ钱包(QQ Wallet)などの主要な支払いプラットフォームが誕生し、国民の支払い方法に新しい変化をもたらしているのです。

かたや、日本ではどうでしょうか?

中国の60%、アメリカの50%弱に比べると日本のキャッシュレス決済利用率は約20%と非常に遅れているといわれています。
日本でキャッシュレス化が進まない要因はさまざまですが、

日本では偽札などが流通しにくく、極めて現金の信頼性が高い。
現金決済は匿名性が担保される。
様々なプレーヤーが乱立しており、共通規格が生まれづらい。
日本は手数料ビジネス(決裁額からの出来高が収益)、中国はプラットフォームビジネス(データ収集と活用で収益性を高める)。
など、キャッシュレス化が進みにくい条件が揃っています。

また、カード払い=ポストペイ(後払い)≒ローン(借金)で物を買う。
といった誤った認識が先行したり、カードローンによる過剰な消費行動をショッキングに報道されたりすることもあり、好意的なイメージを持たない人が少なくない時代もありました。

今ではネットショッピングや、ネットサービスの支払いのため、ほとんどの人がクレジットカードを保持していますが、一方でリアルな支払いでのクレジットカード利用率は他国に比べるとまだまだ低いのが現状です。

経済産業省の策定した「キャッシュレス・ビジョン」とは?

現金での支払いがまだまだ幅を利かせている日本でも、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済を推進する動きはあります。
その代表的なものが、経済産業省が2018年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」です。
キャッシュレス・ビジョン/経済産業省(PDF)

これは、現在は20%程度のキャッシュレス決済利用率を2025年までに倍の40%程度まで引き上げようという目標「支払い改革宣言」を掲げたもので、目標の2025年は大阪・関西万博の開催が予定されている年です。
それまで間にも国際的イベントは数多く予定されていて、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが。
2019年には、ラグビーワールドカップがアジアで初めて開催されます。

このような国際的イベントが追い風となって、今以上の海外からの観光客の増加が期待されているのと同時に、
特に日本よりもモバイル決済が普及している中国人に対して、モバイル決済後進国(?)の日本の店舗がどのように対応していくかが課題とされているのです。

最後に

少し長くなってしまいましたが、
当エントリでは中国でモバイル決済が普及した理由、日本で遅れている理由、そして推進していきたい理由についてお伝えしました。
次回は中国人に最も馴染みのあるとされるモバイル決済サービス、
「支付宝(Alipay/アリペイ)」
「微信支付(WeChatPay/ウィーチャットペイ)」
についてお話したいと思います。

今回も、最後までお読みいただき有難うございました。

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