皆様こんにちは、アドコミ代表の中原です。
今回のエントリーは、世界的な建築需要の高まりにより木材価格が高騰しており、
集成材の調達も難しい状況が表面化していますが、
コロナ禍から影響の少なかった住宅市場に大きなリスクとなる可能性があるのか、
現状の不動産会社樣の生の声をレポートしました。
目次
1.なぜ木材不足や価格高騰が起きているのか

Wuhan, China – East Asia, Corona virus, Pneumonia
昨年春ごろより、新型コロナの影響が世界的に拡大し、木材需要そのものの需要が減少、当初は供給量も減り世界経済が停滞するのではと懸念されていました。一方で、コロナ禍によるテレワーク化が全世界でトレンド化しており、特にアメリカでは都心の集合住宅から地方の一戸建てへ需要が極端に拡大。
ここに追い打ちをかけたのが、中国の木材需要の増加と世界的なコンテナ不足によって、ヨーロッパからの集成材が日本に入らない状況が表面化しています。高買いする中国の木材需要については、アメリカ以上に今後の日本の木材市場に大きな影響を及ぼすと考えられています。
2.国産製材の価格推移と集成材の輸入量
下表は製材用国産材の素材価格の推移を示したもので、2020年7月あたりから上昇傾向にあり、すぎ丸太は15%強、ひのき中丸太は20%強価格が高騰しています。

下表は集成材の日本への輸入量を示しています。2021年2月の集成材輸入量は、前年同月比21%減で5カ月連続の減少。EUからの輸入量は同25%減という状況。

世界的に国を挙げての経済対策による超低金利策で、住宅需要は更に刺激され、より活発になっており、木材の需給バランスが崩れつつあります。
3.住宅会社の動向を聞いてみました

弊社クライアントの住宅会社様20社に前述の状況のヒアリングを実施(2021.4.14現在)。現在の木材の調達状況を下記にまとめました。
・中堅の注文建築会社様では、集成材を中心に2割以上仕入単価が上がっており、売価で50万円〜60万円ほどの値上げを余儀なくされている。
・某大手ディベロッパー様では、2×4工法で建築していたが、吸収できない程の値上げが進んでおり、在来工法に切り替えて供給している。
・中堅の分譲会社様では、夏までの木材のストックは確保できているが、それ以後の入荷が見えない状況である。
・一方、老舗の分譲会社様は、国産木材を中心に仕入れしている為、直接的な影響は聞いていないと我関せずの印象。
ただ、ヒアリングの9割が現状では単価的な高騰はあるものの、何とか賄えているが、夏場以降が見えていない状況とのご意見でした。深刻な状況です。

海外からの木材輸入量が減少する一方で、国産材の需要が高まっていますが、国産材を扱う企業は、取引がある企業に優先的に国産材を供給しており、急な取引には対応できていないというのが本音の様です。
どのクライアント様も現状では有効な糸口が見えておらず、今は静観するしか手がないのが現状です。
4.国内木材供給危機に備える為に

(引用)林野庁ホームページより
農林水産省が森林・林業を再生する指針として策定した「森林・林業再生プラン(平成21年12月)」では、「10年後の木材自給率50%以上」を目標に今後国産材の供給力が強化される事が見込まれています。
ただ、残念ながら令和元年(2019年)の木材自給率は37.8%となっており、目標を大きく下回る推移となっています。世界的な住宅需要の高まりによる、海外からの木材製材不足を補う国内の持続可能なサプライチェーンと森林経営を検討する時期に来ています。

参考:(一財)日本木材情報センター木材価格需給統計資料
https://www.jawic.or.jp/database/
参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=lpAakG1F13I
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