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公開日:2018.01.15 最終更新日:2018.04.04

不動産にも効果的!位置情報を活用したスマートフォン広告(その1)

WEBプロモーション・ディレクターの温井(ぬくい)です。
2007年1月9日、Macworld Conference & Expoで初代iPhoneが発表されてからまる10年が経ちました。
基調講演で「電話を再発明する」と宣言し、同日に「アップルコンピュータ」を「アップル」に社名をも改称したジョブズの目論見どおり、スマートフォンは既存の携帯電話市場を席巻するだけにとどまらず、インターネットデバイスとしてもPCをリプレイスしつつあります。
実用から10年を過ぎ成熟期に入ったスマートフォン市場における、ビッグデータを活用しターゲティングをする広告手法について数回のエントリにわたりご紹介していきたいと思います。

データから見るスマートフォン利用者状況

昨今の日本国内での活用データをあらためて確認するために、通産省発表の「情報通信白書」平成29年版から幾つかの統計を抜粋してみました。

スマートフォン個人保有率の推移

 (出典)総務省 通信利用動向調査

個人のスマートフォン所有割合は2016年の時点ですでに60%にも届こうかという勢い。
特に20〜30代については90%を超えており、爆発的なスピードで「一人一台」に近い情報伝達・収集ツールとなっていることがわかります。

また、すでにWEBトラフィックの割合はPCを超え、モバイル端末がユーザーとWEBとの最大の接点となっています。
注目すべきは利用シーン。
パソコンのネット利用時間とモバイルのネット利用時間の推移(場所別)

(出典)総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

インターネット利用時間の推移は横ばい傾向、モバイルによるインターネット利用時間の推移は増加している。これを利用場所の類型別に分けると、職場でのパソコン利用時間は増加傾向となっている。自宅での利用は、パソコンが減少傾向、モバイルが増加傾向になっており、全体的に自宅ではより手軽にインターネットにアクセスできるスマートフォンが活用されている傾向があると考えられる。

上記の概要に加え、モバイルによるインターネット利用シーンの一つとして「移動中」のネット利用が新たに発生していることがわかります。
今やスマートフォンは、だれもが肌身離さず持ち歩くビジネスや生活の基本ツール。
この「移動中」のユーザー行動はそれまでのデジタルマーケティングには存在しなかった、新たな広告配信のチャンスです。

マーケティング手法にも影響

そして白書の統計で示されるような利用時間の増加や利用シーンの拡大、そしてキャリアやメーカーの通信技術・インフラ整備など環境の拡充は、今まで入手することができなかったマーケティングデータを収集することも可能にしています。
スマートフォンは位置情報を単なる「現在地を表す点」から行動履歴として蓄積された「人の生活を浮かび上がらせる線」に変え、持ち主が「どういう人か」という人物像をプロファイリングすることでその人に合ったサービスや商品の情報を提供できるようにまでなっているのです。

個人情報取得に対する配慮は?

前段では、スマートフォンで計測できる移動履歴(緯度経度、時間)が、持ち主の生活パターン(ライフログ)が浮かび上がらせユーザーにとって利便性の高い情報提供が可能になると述べました。
そこで気になるのは個人のプライバシーとの兼ね合いです。

じつは以前、「彼氏の位置を特定する」ことができるアプリが話題になったことがありました。
専用アプリをスマホにインストールするだけで、位置情報を第三者が把握できるサービス「カレログ」です。
ほとんどの人が、たとえ知り合いであっても自分のスマホに勝手に追跡アプリをインストールされたり、利用状況をモニタリングされるのは嫌なものです。
ましてや預かり知らぬうちに個人を特定されるような情報が抜き取られてしまうことがあれば犯罪やトラブルに巻き込まれるかが心配になります。

流石に「カレログ」と同じ方法でデバイスの利用状況データを収集するようなことはありませんが、現在も個人情報を特定しないようデータの生成方法に配慮したかたちで利活用する技術は使用されています。
例えばスマートフォンのナビゲーションサービスとして利用者の多いGoogle MAPでもスマートフォンに内蔵されたGPS(全地球測位システム)から発信される信号や無線LAN基地局情報を使って特定した位置情報を「タイムライン」として確認することができます。

「場所」が持つコンテクスト

ではGoogle MAPタイムラインのように移動履歴が蓄積されていくと、結果的にどのようなマーケティングデータが生成されるのでしょうか

例えば…
朝8時にA駅から電車に乗り、1時間かけてB駅で下車。
その後2分徒歩でC地点に移動し19時まで滞在。
そのうち12時頃の一時間だけC地点近辺の飲食店に移動。
その後逆方向にB駅からA駅へ移動。
A駅近くのスポーツジムに1時間滞在。

平日は毎日この移動パターンを繰り返し、土日はまったく別の移動をしている。

このような生活パターンが確立されているスマートフォンユーザーが居たとして、ざっくりとユーザー属性を推察してみると、どのようになるでしょう。

おそらく、この人は

A駅から遠くないところに自宅がある。
B駅近くのC地点にある企業に勤務している。
スポーツジムの平日会員。

ではないか、という程度の想像は難しくありません。

さらに通勤途中に立ち寄るイレギュラーな移動履歴、土日の細かな情報に注目することで、

毎週土曜日には決まった時間に料理教室に滞在している。
およそ月に一回はネイルサロンに訪れている。
サッカーシーズン中にはスタジアムに頻繁に滞在している
この一ヶ月以内に外車ディーラー何件かに訪問している。

などのデータが取れるようになると、さらに人物像は具体性を帯びてきます。
もちろんその場所いたという位置情報だけでは、あくまでも推察の域を出るものではないですし、何をしに来ているのかはわかりません。
客としてなのか、従業員なのか、たまたま用事があったのか・・・
しかし、時間帯や曜日、もしくは滞在している時間の長さなどの行動履歴を見ていくと少しづつ嗜好や生活圏、持ち主の人物像がわかるようになります。

位置情報ターゲティング

このような位置情報データを利用したユーザーの絞り込み(ターゲティング)は
「ジオターゲティング/GIO Targeting」と呼ばれ、
ベンダーごとに微妙な違いはありますが、簡単な概要としては
消費者が特定地域に足を運ぶと、GPS、基地局情報、Wi-Fiの接続情報、ビーコン(Bluetooth受発信機器)などからターゲットとしてその端末を認識するというものです。

また、広告を配信する場合には、手法として
A:消費者の行動パターンにしたがって広告を送る相手を選別する。
B:消費者が現在どこに居るかを検知しリアルタイムに広告を配信する。

という大きく2つのパターンがあります。
これは、従来のリスティング広告などで可能な「配信エリア」ごとに入札単価を調整するような絞り込み方法とは一線を画するもの。
ジオターゲティングのメリットは、「現在特定地域にいるターゲット」や「過去特定地域にいたターゲット」などを細かく設定してビジネスの文脈に合った広告配信ができるところです。
次回エントリでは、この2つのパターンについて詳しくご紹介していく予定です。

もちろんアド・コミュニケーションズでは様々なWEB広告手法の一つとしてジオターゲティング広告も取り扱っています。
続きが気になる!とご興味をもってくださった方にはご説明にお伺いしますのでぜひお声掛けください。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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