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不動産業界が知るべきSNS広告における表示規約の重要性

2025.05.15
認知度UP

情報社会と呼ばれる昨今。日々の生活の中でSNSに触れることも多いでしょう。

スマートフォンの普及により、今や私たちの生活に欠かせない存在となったSNS(ソーシャルメディア)
X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、YouTube、TikTokなど、
いずれかのSNSを日常的に利用しているという方がほとんどではないでしょうか。

これらのSNSは、情報収集やコミュニケーションの場であると同時に、
企業や不動産会社にとっては効果的な広告・販促のチャネルとしても注目されています。

しかし、ここで気をつけたいのが「SNS上での不動産広告は、通常の広告と同じく表示規約や公正取引協議会(公取)ルールの対象になる」という点です。
つまり、投稿形式であっても、内容によっては“広告表示義務”や“誤認防止”のルールが適用される場合があります。

本記事では、不動産業界がSNS広告を運用する際に注意すべき表示規約と公取ルールについて、
Q&A形式でわかりやすく解説します。

目次

  1. 不動産業界でSNS広告が重要視される理由とは?|集客・認知に与える影響
  2. SNS広告を出す前に知っておくべき広告表示規約の基本|誤解を招く表現に注意
  3. 不動産広告の「公正取引協議会(公取)」とは?SNSにも適用される主要ルールを解説
  4. 不動産SNS広告でよくある公取違反Q&A|表現・価格表示・体験談の注意点
  5. まとめ:不動産業界のSNS広告は「表示ルール遵守」で信頼と成果を両立させよう

 不動産業界でSNS広告が重要視される理由とは?|集客・認知に与える影響

スマートフォンの普及と共に、SNSは日常的な情報収集ツールとして定着しています。不動産業界においても、InstagramやX(旧Twitter)、YouTube、TikTokなどのSNSを活用して物件を紹介する手法が注目されており、特に若年層や子育て世代へのアプローチ手段として有効です。

物件の写真や動画、周辺環境、スタッフのコメントなど、紙媒体では伝えきれない情報を「リアルな目線」で発信できるのがSNSの強みです。しかし、発信の自由度が高い一方で、広告と見なされる投稿には一定のルールや法律が適用されることを理解しておく必要があります。

SNS使用の現状と不動産広告

不動産業界においても、公式アカウントを運用して物件情報を発信する企業が増加しています。たとえば「物件紹介ルームツアー」や「社員による街歩き動画」、「エリアの暮らし紹介」など、ユーザーにとって有益な情報をSNS上で展開するケースが主流になりつつあります。

中でもInstagramは、写真の視覚的訴求力が高く、物件の魅力をダイレクトに伝えやすいため、反響が得やすい媒体です。さらに、ストーリーズやリールなどの機能を活用することで、投稿の幅も広がります。

ただし、SNSでの発信は「広告」としての側面を持つことが多く、表現方法や情報の正確性に注意しなければ、意図せず違法表現になってしまうリスクもあります。

不動産会社とSNS広告の関係

不動産会社がSNSを活用する際、単なる情報発信ではなく「広告」として見なされる投稿には、景品表示法や宅建業法などの規制が適用されます。これは、企業が自社の利益を目的として行う情報発信には「広告性」があると判断されるためです。

たとえば、物件の価格、徒歩分数、面積などを含む投稿、キャンペーン情報、サービス内容に関する投稿などは、原則すべて広告とみなされると考えた方が安全です。インフルエンサーとのコラボや社員による投稿であっても、内容次第で法的責任が発生します。

投稿が「広告」である場合は、表示内容の根拠が求められたり、誇張表現が制限されたりするため、社内でガイドラインを整備して運用ルールを明確にすることが重要です。

集客のためのSNS活用法

SNSを効果的に活用するには、ただ物件情報を載せるだけでなく、ターゲットに合った情報設計と投稿計画が欠かせません。たとえば、若年層を狙うならTikTokやInstagramでの「ルームツアー動画」や「内見あるある」のようなカジュアルな投稿が効果的です。一方、ファミリー層や高齢者を対象とする場合は、FacebookやYouTubeを通じた丁寧な解説動画などが好まれます。

加えて、「エリア紹介」「スタッフのおすすめポイント」「暮らしのシミュレーション」などのコンテンツは、物件に対するイメージを膨らませる上で効果的です。信頼感や親近感を与える内容を重ねることで、問合せや来店へと繋がる確率も高まります。

ただし、集客に効果的であっても、表現方法や内容に法的リスクがある場合は、逆にブランドイメージを損なう恐れもあるため、次章で紹介する「広告表示規約」の理解が欠かせません。

 SNS広告を出す前に知っておくべき広告表示規約の基本|誤解を招く表現に注意

SNSを活用した不動産広告では、自由な表現と法令順守のバランスが求められます。その中核となるのが「広告表示規約」の存在です。この規約を正しく理解していないと、意図せず違法表現になり、消費者庁や行政からの指導を受けるリスクもあります。

広告表示規約とは何か?

広告表示規約とは、広告における表現の正確性と公平性を保つためのルールです。中心となるのは「景品表示法(景表法)」で、誤認を招く優良誤認表示や有利誤認表示、根拠のない比較表現などを禁止しています。

また、不動産業界には「不動産の表示に関する公正競争規約」と呼ばれる自主ルールもあり、価格、面積、最寄り駅までの徒歩分数、完成時期などに関して明確な表示基準が設けられています。SNS上の投稿であっても、これらの規約の対象となることを理解しておく必要があります。

SNSにおける広告ルールの必要性

SNSでの広告は、「広告であることがわかるように明示すること」が大前提です。これはステルスマーケティング(通称ステマ)を防止するためで、「#PR」や「#広告」「#提供」などの表記が必要になります。

また、SNSだからといって誇張表現が許されるわけではありません。「駅近!わずか1分!」といった投稿でも、実際の徒歩距離を元にした根拠のある表現でなければ違反となる可能性があります。

社内スタッフによる投稿でも、事業として行われていれば規制対象となります。よって、投稿前には「この内容は広告かどうか」「根拠のある情報かどうか」をチェックする体制を整えておくと安心です。

不動産広告と法律の関係

不動産広告には、景表法に加えて「宅地建物取引業法(宅建業法)」が適用されます。たとえば、未完成物件に対して「即入居可」と表示することは違法です。また、広告開始可能なタイミングや、物件価格・面積・設備などの表示基準も詳細に規定されています。

たとえSNS投稿であっても、「広告として見なされる場合」はこれらの法律の対象になります。つまり、パンフレットやチラシと同じレベルの慎重さが必要だということです。

特に中小の不動産会社では、SNSを社員個人の裁量で運用しているケースも見受けられますが、今後はコンプライアンス強化の一環として、投稿のダブルチェック体制や、広告基準の社内マニュアル作成なども求められるでしょう。

 不動産広告の「公正取引協議会(公取)」とは?SNSにも適用される主要ルールを解説

SNSを活用した物件紹介が一般化する一方で、投稿が「広告」と見なされる以上、法令遵守の視点は避けて通れません。中でも注意すべきなのが「不動産公取」、つまり不動産業界における公正取引のルールと監視体制です。誤表示による指導やペナルティを未然に防ぐためにも、その役割や対応策を正しく理解しておきましょう。

不動産公取とは

「不動産公取」とは、正しくは「不動産の表示に関する公正競争規約(不動産表示規約)」と言います。この公取を中心に、消費者に誤解を与えない健全な広告活動を推進する仕組みのことを指します。この規約は、景品表示法に基づいて設定された業界の自主ルールであり、消費者の正しい選択を助け、不当な競争を防ぐことを目的としています。

不動産広告は、価格、面積、立地、設備、築年数など、専門的な情報が多く、消費者が理解しにくいケースも少なくありません。そのため、明確で公平な表示ルールが必要とされ、不動産公取(=不動産公正取引協議会)という団体が、その運用と監視を担っています。

この規約はSNSの投稿にも適用されるため、「広告らしくない投稿」でも物件情報や条件を含む場合は注意が必要です。

不動産業界における公取の役割

不動産公正取引協議会(略称:不動産公取)は、各地域に設置された協議会が管轄し、日々、広告表示に対する監視活動を行っています。不当表示の疑いがある場合には、調査・指導・是正命令といった対応がとられ、悪質なケースでは社名公表や業務停止処分に発展することもあります。

実際、公取の指導事例には「駅徒歩表示の過大評価」「完成予定日が誤っていた広告」「管理費などの諸費用が明示されていない」など、ちょっとした表現ミスが含まれており、大手・中小を問わず摘発されています。

特にSNSでは、視覚的・感覚的な表現が重視されがちですが、それがかえって「誤認を与える広告」と判断されるリスクもあるため、不動産公取の視点でのチェックが求められます。

公取の規制に適応する方法

不動産公取の規制に適応するには、「日頃からの意識づけ」と「社内体制の整備」がカギになります。まず大前提として、SNSであっても広告である限り、不動産表示規約と景品表示法の両方を遵守する必要があることを全スタッフが認識することが重要です。

具体的な対策としては以下のようなものがあります。

  • 投稿前に内容のファクトチェック(事実確認)を行う
  • 徒歩分数や面積、価格表示にルールを適用する(徒歩1分=80m換算など)
  • 「即入居可」や「モデルルーム公開中」といった表現も、根拠が明確でない場合は使用を避ける
  • 社内ガイドラインやチェックリストを整備し、運用ルールを標準化する
  • 定期的に公取関連の研修や講習に参加し、最新のルールを学び続ける

また、投稿ミスや表現誤りが発覚した際には、速やかな訂正と、原因の洗い出し・改善策の共有を徹底することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

 不動産SNS広告でよくある公取違反Q&A|表現・価格表示・体験談の注意点

ここからはSNSにおける公取ルールについてのQ&Aをお届けします。

中には私たちがお客様である不動産会社様から質問を受けて、実際に不動産公取に問い合わせたものもあります。

Q1.SNSの広告も公取の規制を受けるの?

SNSを使った宣伝も、「インターネット広告」に該当するため、規制対象です。

不動産公取の対象となる広告媒体区分は以下のようにされています。

        • インターネット広告
        • パンフレット等
        • 新聞折込チラシ(宅配に使うチラシも含)・新聞記事下広告・住宅専門雑誌記事中広告
        • その他新聞・雑誌広告

      これらに当てはまれば公取の規制対象とお考えください。

物件の種別や使用媒体などにより必要な項目が変わります。

中でもインターネット広告とパンフレットにつきましては、チラシや雑誌広告よりも掲載必須項目が多くなります。

X(旧Twitter)だから文字数やスペースが少ないので外さざるをえない、ということもあると思いますが、うまく対策をして、SNSでの広告を展開していきましょう。

Q2.事業用の物件をSNSに載せても規制対象?

事業用の物件をSNS広告に出すケースは珍しいですが、全くゼロではないでしょうし、気になる要素だと思います。

実は事業用物件については、原則ですが不動産公取の規制対象から外れます。

不動産公取規約が適用されるのは、居住用の物件に対してのものとなるからです。

これはSNSを含むWEB広告に限らず、チラシや他の媒体も同様です。

ただし、景品表示法や宅建業法の規制は適用されますので、 居住用の物件と同様に表記するのが安心ではないでしょうか。

Q3.物件概要や細かい情報はSNSの本文や動画に組み込まないと違反になる?

結論から言いますと、概要など必要項目がしっかり掲載されているサイトにリンクを貼れば、違反とはなりません。

Facebookには投稿文に直接入力して構いません。Youtubeも概要欄などにリンクを入れましょう。

X(旧Twitter)は文字数制限がネックになる可能性もありますので、その場合は短縮URLを入れるなど工夫が必要です。

Q4.逆にチラシに書ききれない内容はQRコードでHPにリンクすれば問題ない?

これはダメです。紙媒体の情報不足分をHPで補完させる流れは不当表示となります。いわゆる「続きはwebで」は使えないと考えてください。

文字制限のあるX(旧Twitter)等で詳細は◯月×日にA市エリアで折込されるチラシで発表します、という紹介の流れもできません。

表示項目においては、チラシはチラシ、SNSはSNSで分けて考える必要があります。

Q5.「Instagram限定で公開」と銘打って物件を出してもいいか?

こちらは実際にお客様から質問を受けた内容です。そして不動産公取に確認しました。

答えは、その媒体のみに本当に限定するのなら可能、です。

しかし、いくら同じインターネット広告でも、Instagram以外にはその物件を紹介できないという事になります。自社HPにも出せません。

特に仲介物件となりますと、自社以外の会社のサイト・SUUMOなどのポータルサイトにも掲載される可能性も出てきます。紙媒体に掲載されてもおかしくありません。

そこを潰してまで自社のSNS限定公開は危険な上、非常に勿体無い手法ではないでしょうか。

自社のSNSだけという特別感を出したい、というお気持ちもわかりますが、これはあまりお勧めできないやり方です。

Q6.インスタにホームステージングでCGの家具を配置した写真を入れたい。

結論として、可能ではあります。

とはいえ、自由にできるものではありません。家具は合成の旨は明記し、配置する家具はサイズ的に入らないものを配置させることはできません。

その点に注意いただいて活用していきましょう。

Q7.「広告ではありません」前置きし、物件動画を投稿し、DMで資料送付したものを見かけた。自社でもやりたい

このところ、このようなInstagram活用をみかけるようになりました。

物件紹介の動画を投稿、興味のある方はコメントで「資料請求」とだけ打って送れば、折り返しDMで資料が届く。

ただそのアカウントは「この投稿は広告ではありません」「この物件を募集しているものではありません」と概要に書かれています。「広告ではありません」はプロフィール欄にも同じ表記があります。

募集をしていないと銘打っているので物件概要はありません。その割には「敷金・礼金0円で住める」とも書かれてあります。

アカウントの名前は事業者ではありません。

そしてコメント欄には「資料請求希望」の数が多くあります。

この方法は果たして公取としては問題ないのだろうか。実際に聞いてみました。

結果「超グレー」。

直ちに罰則を受けるものではないそうですが、非常に危ない方法だと返答を頂戴しました。

DMでしっかりした資料を渡していたとしても、物件概要などの必要項目がその投稿で一般公開されていなければ意味がないのです。

この「広告でない」というのはステマ規制対策なのか、不動産公取を意識したものなのか。アカウントの様子からは感じ取れませんでした。

ですがいくらアカウント主が違うと言っても、広告だと解釈されてしまいかねないものは罰則を受ける事になる可能性はあります。

Q8. 物件の「成約済み」投稿は広告に含まれる?削除しないと違反になる?

「成約済み」「ご成約ありがとうございました」などの投稿も、広告とみなされる可能性があります。
特に、物件の写真・間取り・価格をそのまま残したまま投稿している場合、
ユーザーが“まだ販売中なのでは?”と誤認する恐れがあるため注意が必要です。

成約後の投稿を残す場合は、

  • 画像内・本文の両方に「※この物件は成約済みです」と明記する

  • 新規募集の誤解を招く内容(価格・見学受付・販売中など)を削除する
    など、誤認防止のための明示的な記載を行いましょう。

Q9. 投稿で「〇〇駅から徒歩3分」と書いても大丈夫?

徒歩分数の表記は、不動産公取規約で明確な計算基準が定められています。
原則として、「80メートル=徒歩1分」として算出し、小数点以下は切り上げで表記します。

例)物件から駅まで200mの場合 → 200 ÷ 80 = 2.5 → 徒歩3分 と表記。

このルールに沿わない「約◯分」「数分圏内」などの曖昧表現は、
誤認表示とみなされるリスクがあるため避けましょう。
SNS投稿でもキャプションや画像内テキストで表記する際には、
同様のルールを適用することが求められます。

Q10. スタッフの「体験談」や「おすすめコメント」投稿も規制対象?

はい。スタッフが「この物件は眺望が最高!」「ここは本当に住みやすいです」などと
主観的な感想を“事実のように”表現する投稿は、景品表示法・不動産公取の
「優良誤認表示」に該当するおそれがあります。

体験談・レビュー風の投稿を行う場合は、

  • 投稿者が事業者(スタッフ)であることを明記

  • 「※スタッフ個人の感想です」「※イメージ写真です」など注意書きを添える

  • 実際の入居者や購入者のレビューを掲載する場合は事前許可を得る

といった点を徹底しましょう。
SNSでは広告色を薄めた“自然投稿”が増えていますが、
宣伝意図がある限り広告と判断される可能性があるため注意が必要です。

 まとめ:不動産業界のSNS広告は「表示ルール遵守」で信頼と成果を両立させよう


SNSは日常的な情報収集ツールとして、物件紹介や広告に有効に活用されていますが、広告として見なされる投稿には法的な規制が伴います。特に、景品表示法や宅建業法に基づいた表示規約を守ることが重要です。これらの規約は、SNS上での広告でも適用されるため、誇張表現や不正確な情報を避けるためには、社内でのガイドライン整備やチェック体制が求められます。

また、不動産広告においては、広告表示規約を守ることが消費者の信頼を得るために不可欠であり、誤認を防ぐための注意深い運用が求められます。SNSの特性を活かしながらも、規制を遵守することで、効果的に集客を行っていきましょう。

私たちは近畿地区不動産公取の賛助会員です。

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SNS広告の運用は、法令遵守と信頼構築のバランスが重要です。
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