不動産業界のリスティング広告とディスプレイ広告について
リスティング広告とは、検索エンジン(国内ではGoogle、Yahoo!)やそのパートナーサイトで、ユーザーの検索語句や閲覧中のWEBページのコンテンツなどに連動して配信される広告の総称です。
検索エンジンのユーザーの検索語句と連動して配信されるテキスト広告だけが「リスティング広告」と誤解されがちですが、「ディスプレイ広告」もリスティング広告の配信メニューの一部です。
正確には「コンテンツ連動型広告」と呼ばれる広告メニューになります。
厳密には「リスティング広告=検索連動型広告」ではないことを覚えておきましょう。
このリスティング広告も不動産業界で利用される機会が多いです。また、近年では効果があることを理解する企業が増えたことにより、不動産におけるリスティングは競合が多く、何も知識がない状態で挑戦するのは難しい現状があります。
「検索連動型広告」、「コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告など)」のどちらも、新聞や雑誌の広告のように、一度掲載してしまうと変更が効かないというものではなく、むしろリリース後に分析し、調整や改善を行っていくことで最適化、成果創出を行えることが最大の特徴です。
2019年にはインターネット広告の出稿額がテレビを越え、企業規模の大小に関係なく無理の無い予算投下ができるリスティング広告は、クライアント企業にとって今や最も優先度の高いプロモーション施策になりつつあります。
また、TwitterやFacebook、InstagramやLINE ad Platformなど、ディスプレイ広告で用いた動画やバナークリエイティブを入稿規定さえ問題なければ流用できること、ニュースフィード、タイムラインやTweetなどコンテンツと連動して配信することが可能なこと、からこれらを広義のディスプレイ広告とカテゴライズすることもありますが、明確な定義はありません。
今回はあまり触れず、別のエントリでご紹介したいと思います。
目次
- リスティング広告とは
- 検索連動型広告とは
- 検索連動型広告の特徴
- ディスプレイ広告
- ディスプレイ広告の特徴
- リスティング広告の仕組み
- 不動産広告におけるリスティング広告の役割は「ホームページの健康診断?」
- 最後に
リスティング広告とは
冒頭で紹介したリスティング広告の大きな2つのメニュー「検索連動型広告」「カテゴリ連動型広告(ディスプレイ広告)」ですが、それぞれに特徴があり、また配信プラットフォームの「Google広告」「Yahoo!広告」でもそれぞれ出来ることや仕様に違いがあります。
広告主の実現したい広告配信のゴールに応じて媒体を選定し、その媒体に合ったプランを立てるべきですが、両プラットフォームとも以下のような同様に配信すべきメリットがあります。
リスティング広告は、広告配信プラットフォームであるGoogle 広告やYahoo!広告の審査さえ通過すれば、即時に広告を配信可能です。
リリース後の広告配信の状況は専用の管理画面から確認し、いつでも変更を加えることができます。
完売してしまった物件広告の停止なども即時にできるので、マス広告などに比べて無駄が少なく、少額から始めてみて成果に応じて予算を掛けていくことが出来るのが最大のメリットです。
その結果を見ながら、集客につながりやすい時間帯、曜日やデバイスなどに応じて掲載を変更したり、成果の良い広告クリエイティブなどに予算を集中したりと、広告配信後から広告主ができることは多岐にわたります。
むしろ、広告を配信してからが本番とも言え、配信して放置してしまうようであれば効果は期待できません。
自社のリソース不足で運用管理が難しい場合や、ノウハウ不足で成果につながらない場合には、外部のパートナーにアウトソーシングしてしまうことを検討するのも手です。
検索連動型広告とは
検索連動型広告は、検索エンジン(国内では主にYahoo!、Google)でインターネットユーザーが検索した際に、広告配信側で設定した検索キーワードと、ユーザーの検索語句(検索クエリ)をマッチングさせてテキスト広告を配信する広告です。
特にユーザーが自らの課題感、必要性や関心度の高い段階で起こした検索行動に対して広告が表示されるため、コンバージョン率が高いプル型のプロモーションが可能です。
例えば、検索エンジンで「新築マンション」と検索した場合、新築マンション関連の広告が表示されます。
「新築マンション」で検索しているユーザーの興味や課題を満たすような見出し、説明文で関心を引き、クリックしてもらうことでウェブサイトに集客します。
一般的に、検索エンジンが順位付けした自然検索結果より上位に配置(下部にも配信されますが、あまりインパクトは無いです)させるため、SEO対策など自然検索対策でサイトへの集客を行うより、早期に、且つ狙ったキーワードでユーザーへアプローチが出来ます。
検索連動型広告はSEOと併せて(あるいは区別するために)SEM(Search Engine Marketing)と呼称されたり、主にクリック課金での有料配信なのでPPC(Pay Per Click)広告、CPC(Cost Per Click)広告と呼ばれます。
検索連動型広告の特徴
検索連動型広告の最大の特徴は「キーワード」と「検索クエリ」の連動による配信です。
リスティング広告を出稿する広告主は「キーワード
」を設定します。
キーワードは、広告主のビジネスの顧客になってくれそうなユーザーがどのような課題(ニーズ)や欲望(ウォンツ)を持って検索するか、を想定して選定します。
そのほかに自社の社名やブランド名などをキーワードに含め、場合によっては競合社の社名やブランド名を設定するなど創意工夫を行いましょう。
さらに配信してみて結果を分析することで、成果の良いものに注力するなど改善を行っていきます。
一方、ユーザーが検索するときの検索語句は(検索クエリ)と呼ばれます。
この広告主側が設定した「キーワード」とユーザーが検索した「検索クエリ」の関連性が高いとシステムが判断したときに広告枠に対して配信を行うための「入札」が行われ、その結果に応じて自社の広告が表示されたり、他社の広告が配信されたりします。
キーワードには、配信ボリュームが期待できる「ビッグワード
」と、検索ボリュームが少なくニッチな「スモールワード」があります。
ビッグワードの場合は広告の表示機会が非常に多くなりますが、検索ユーザーの意図に合っていない広告は出稿する意味がないばかりか、無駄なコストの消化が進む結果となりかねません。
極端な例を出してみると、住宅メーカーが「不動産」というキーワードで出稿しようとした場合、
- 「賃貸物件を契約したくて業者を探している」
- 「投資のための物件を探している」
- 「不動産の英語のスペルを調べている」
- 「持ち家の売却を考えている」
など検索目的がバラバラのユーザーに対して配信を行ってしまう危険性が高く、ビジネスの成果につながりにくいユーザーにも表示される可能性があります。
また、検索ボリュームが多いキーワードは予算規模が大きい業界大手の広告主と競合することも多く、配信コストが高騰しやすいため、キーワードを選定する際には
- 自社サービス
- 提供する価値
- ユーザー(お客様)の探している情報
- 課題や悩み
- 他に同じキーワードで出稿していると考えられる競合社や業種・業界
などをリサーチして自社に合った検索意図・検索ボリューム・費用対効果や訴求内容を考えなければなりません。
検索連動型広告はキーワードをベースにユーザーにアプローチするので、悩みや課題が明確になって検索をしている「顕在層」に効果的です。
より具体的な答えや解決策を求めている場合が多く、自社の提供価値とユーザーの心理を理解することで成果に大きく差がでます。
また、検索連動型広告における基本的な概念は、Google、Yahoo!とも大きくはかわりませんが、その仕様は細かな差異があり、逆に正しく把握しておかなければ設定などを間違えてしまうことにもなりかねません。
【参照記事】Google広告について解説。利用するメリットと運用のポイント
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、正確には「コンテンツ連動型広告」とカテゴリ分けされる広告メニューです。
Webサイトを閲覧したり、スマホアプリを利用した際に、画面のどこかに表示されるバナー、テキスト、動画などの広告のことを指します。
主に画像がメインとして使われていましたが、スマートフォンでの常時接続が当たり前になった近年では、情報量が多くリッチな表現が可能な動画での広告配信が伸びてきています。
ディスプレイ広告の特徴
検索連動型広告と、まず大きく違う点は掲載場所です。
検索連動型広告はサイトを検索した際の検索結果に表示されるのに対して、ディスプレイ広告はWebページやアプリ面上のどこかに表示されます。
検索連動型広告は広告見出し・説明文がメインなのに対して(一部、画像表示オプションという画像での訴求も可能です)、ディスプレイ広告は画像や動画、テキスト広告がメインです。
Googleでは「レスポンシブディスプレイ広告」といった配信面にクリエイティブを自動的に最適化する広告メニューもあります。
さきほど、検索連動型広告はプル型の広告配信とお伝えしましたが、対してディスプレイ広告はプッシュ型のプロモーションともいうことができ、ユーザーの既知情報から想起される検索語句をスタートとする検索連動型広告と違い、未知の情報を伝達(初期認知獲得)する手段としても機能します。
画像でサービスや商品のイメージを訴求することで、まだ商品について認知していないユーザーを刺激することが出来るのです。
また掲載面の自由度が高く、ユーザーがインターネットサービスを受けている際の画面表示に広告掲載枠さえあれば配信可能と言っても過言ではありません。
このことからユーザーの行動と紐付けることでリマーケティング(リターゲティング)を行ったり、オーディエンス(閲覧傾向)リストと紐付けることでセグメント配信を行うなど刈り取り型のマーケティングに活用することも可能です。
リスティング広告の仕組み
リスティング広告の仕組み①入札単価
リスティング広告は入札制です。
例えば検索連動型広告で、あるキーワードに連動して広告を出したい場合、同じキーワードで出稿したい広告主は複数いることが想定されます。
仮に、A企業が100円、B企業が120円、C企業が130円にCPCを設定したとします。
この場合、同じキーワードで最も高額なCPCを提示しているC企業が最上位に掲載され、2番目にB企業の広告が表示されます。
これが入札制の仕組みです。
したがって、「このキーワードに関連して流入したユーザーはお買い上げの確率が高い!」という勝ち筋がわかっている場合、入札で勝ち残れるようにある程度高く設定しておくなどの調整が必要です。
リスティング広告の仕組み②広告の品質
とはいえ、広告を出稿したいキーワードは、同業者のどの出稿主も同様に獲得したい場合がほとんどで、その競合性の中で可能な限り費用対効果を高める必要があります。
先ほどの入札結果では、C企業が130円の入札単価で最上位を獲得しましたが、実際の広告配信のシステムはもう少し複雑です。
入札単価の他に考慮される要素として
- そのリンク先のウェブサイトが、ユーザーにとってどれほど有用で利便性が高いのか
- 入札したいキーワードと広告テキストの親和性が高いか
- 広告表示オプションなどのユーザーに情報を伝えるための設定が充実しているか
などの項目があり、設定を見直したり調整をかけたりすることが消化コストの高騰を防ぐカギとなります。
Googleなど、配信プラットフォーム側としてもこれらの要素を改善して(より検索ユーザー側が便利に検索エンジンを活用できることがサービス品質上優先されるため)運用することを重要視していて、低い入札単価でもノウハウ次第で安価で効率の良い広告掲載が可能です。
検索連動型広告を例としてご説明しましたが、ディスプレイ広告でも同じように遷移先ページの利便性や広告クリエイティブによって広告の品質がランク付けされており、改善することで最適化させていくことができます。
不動産広告におけるリスティング広告の役割は「ホームページの健康診断?」
不動産広告におけるリスティング広告の役割は、市場デビューさせる事です。
今まではSUUMOやホームズ等のポータルサイトへの掲載や、SUUMO冊子への折込チラシ、テレビCM等を用いればある程度市場デビューをすることができました。
しかし、コロナ禍にある現状において不動産の営業所への来店が減っている現実の中、不動産においてもWEB広告の需要が急増しています。
これまでWebサイトの解析にはGoogleアナリティクスやサーチコンソールを活用することが中心でしたが、コロナ禍の影響でWebに参入する競合が増えてきたことにより、広告を運用した上での分析も重要となってきました。
Web広告であるリスティング広告を用いることにより、紙媒体やTV媒体やポータルサイトよりも効率的で費用対効果の高い広告を実施する事が可能です。
また、ターゲティングの調節やPDCAサイクルを回すことにより、コストを下げることが可能な点も魅力です。
以前大阪のタワーマンションの広告を東京で行ったところ約4万円のリスティング広告で東京のお客様御一人が大阪のタワーマンションのワンフロア全て買って頂ける事例がございました。
金額内で複数のパターンを試し、費用対効果の高いところを突き詰められることがメリットです。
私たちは不動産業界の顧客が非常に多く、経験やノウハウが豊富です。
まずは御社のホームページの「健康診断」を行って、会社にとって健全で健康的な「費用対効果の高い不動産広告」を私たちと実現しませんか?
最後に
リスティング広告は極めて簡単に始めることが可能で、売上増加や見込み客の獲得など、ビジネスの成果に直結するようなインパクトを出すことの出来る広告手法です。
インターネットの常時接続が当たり前になり、スマートフォンの普及でさらにエンドユーザーがインターネットを通じて商品やサービスについて手軽に情報収集が出来るようになったことで、一気に広告手法としての存在感を増大させました。
今やマーチャンダイズやインフラにまで大きな影響を与え、企業ではインターネットを介したビジネス構築が前提にオペレーションが設計されつつあります。
また、それまでの広告手法として存在したテレビやラジオ、新聞雑誌やチラシに比べて、かけた費用に対してのレスポンスが明確なデータとして残るため、成果指標に対しての効果検証が容易で、分析や改善によるPDCAアプローチができることも広告担当者にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
リスティング広告は小さく始められるため社内での稟議を通しやすく、費用対効果の判定がしやすいのでいざという場合の撤退もスピード感を持って行うことができる媒体です。