不動産会社向けVR動画制作サービス6選!メリットや注意点も紹介
VRを使った内覧やモデルハウス案内を実施する不動産会社が増えてきました。
VRを活用することにどのようなメリットがあるのか、また、注意点についても解説します。
おすすめの動画制作サービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 不動産会社がVRを活用するメリット
- 不動産会社向けVR動画制作サービス6選
- VRを活用するときの注意点
- 不動産案内にVRを導入する費用の目安
- 目的に合わせたVRを作成しよう
- 【編集部後記】販売のための必要ツールになるVR内覧
不動産会社がVRを活用するメリット
さまざまな業界、分野での活用が期待されているVRですが、不動産業界でVR(Vitual Reality、仮想現実)が注目されているかを知るためには、VRとは何かということを知っておく必要があるでしょう。
VRとは次の3つの条件を満たしたもの、あるいはそのものを見ることを指します。
- 自然な立体空間
- 視聴者の動きと連動している
- 視聴しいている世界の中に没入できる
VRでは自然な立体空間が展開されています。
一部のものや人物だけが立体である、あるいは全体的に平面感があるものはVRとは呼べません。
また、VRは単純な立体画像ではなく、視聴者が特定の方角に目を向けると、その方角で見られるであろう空間が広がります。
そのため、VRの中でどこに目を動かしても、あるいは頭を動かしても、その世界があたかも現実のように見えなくてはいけません。
これらの条件を満たす画像であれば視聴者は視聴している世界の中に没入でき、「実際に見た」と感じられるようになります。
VRを不動産業界に活用することで期待できるメリットとしては、次の4つを挙げられるでしょう。
- 店舗内で内覧を済ませられる
- モデルハウスの家具や照明代を節約できる
- 情報を視覚的に分かりやすく伝えられる
- 物件を差別化できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
店舗内で内覧を済ませられる
VRでは目や頭を動かした方角に、実際に広がっているであろう世界が展開します。
これは特定の区切られた空間を表現するには適した方法です。
戸建て住宅やマンションなどの区切られた空間をVRで表現すれば、利用者は実際に現地に行かなくても物件内の様子を自由に見回ることができるでしょう。
つまり、通常であればモデルハウスやモデルルームを案内する、中古物件の場合には現地まで連れて行って内部を紹介するという内見のステップが、不動産会社の店舗内で済ませることができるのです。
時間と手間を大幅に短縮できるでしょう。
利用者の中にはいくつか候補の物件があり、比較して検討したいと考えているケースもあるかもしれません。
実際に物件をいくつも回るのは大変ですが、VRであれば画像を切り替えるだけで完了できます。
大阪に居ながら東京の物件を見ることもできるので、離れた物件を探しているときにも便利です。
また、居住中の住宅も気兼ねなく内覧できるのもVRのメリットといえるでしょう。
居住中の場合は、居住者も気を遣いますが内覧者も気を遣うものです。
VRであれば実際の物件に立ち入ることはないため、納得できるまでじっくりと内覧を済ませられます。
モデルハウスの家具や照明代を節約できる
VRで新築物件の内見ができるようになれば、モデルハウスを用意する必要がありません。
通常、モデルハウスには家具や照明、カーテンなどを一式用意しますが、VRで見せることができるのでリアルの世界では不要です。
少しでも内覧者に良い印象を与えようとして、高級家具や高級カーテンを買う必要もなくなります。
モデルハウスを維持するための電気代も不要です。
また、モデルハウスは内覧者やスタッフの頻繁な出入りにより傷や汚れが生じるので、通常の住宅よりも割り引いた価格で売却することがあります。
モデルハウスには他の物件とは異なり家具代などがかかっているので、利益率が大幅に下がってしまうでしょう。
しかしVRであれば、内覧者がどんなに多くてもリアルな住宅は一切汚れません。
モデルハウスを値引きして販売することもないので、高い利益率を維持することも可能でしょう。
情報を視覚的にわかりやすく伝えられる
物件の情報をパンフレットや写真などを用いて伝えることもできます。
不動産会社の店舗でいくつかパンフレットや写真を見せ、利用者が気になった物件だけを案内するスタイルも広く用いられている手法です。
しかし、写真や文章では伝えられる情報量に限界があります。
例えば素敵な写真を掲載しても、「美しく見える角度を選んでいるのだろう」あるいは「加工しているのではないだろうか」と閲覧している利用者に思わせてしまうかもしれません。
また、文章で物件を紹介する場合はどうしても感覚的な言葉を選びやすく、利用者に正確にイメージを伝えることは難しいでしょう。
パンフレットは意図的に情報を切り取っているという印象を利用者に与えかねませんが、VRは異なります。
仮想現実の世界の中で利用者は「見たい」と思う方向から物件を見ることができるので、情報の信憑性が高まり、なおかつ正確な情報を伝えることが可能です。
他社との差別化を図れる
現在、すべての物件に対してVR動画は作成されていません。
利用者にとっても不動産会社にとってもVR動画はメリットがある物件紹介の手法です。コロナ禍で需要が急増していますが、一部物件での利用が現実のところといえるでしょう。
そのため、VR動画を作成することで他者との差別化することが可能です。
不動産の新たな広告活動の手法として、VR動画を検討してみることができるでしょう。
不動産会社向けVR動画制作サービス6選
VR動画の作成を行う会社の中にはオールラウンドに活躍している会社もありますが、特定分野の動画作成に長けている会社も少なくありません。
不動産会社向けの動画を作成している会社を6つ紹介するので、ぜひ提供サービスやイメージ動画などを比較してみてください。
マーターポート
Matterport社はアメリカのカリフォルニア州に本社を置くベンチャー企業です。
室内空間を3Dデジタル化するプラットフォーム「Matterport」の運用や専用カメラ「Matterport Pro2」の販売なども行っております。
Matterport自体は他の360°カメラでも利用できますが、Matterport Pro2カメラは空間スキャンに優れ、自由な角度から室内を3D模型データにすることができます。
そのため、上からの俯瞰やドールハウスと呼ばれる立体空間の再現も可能になります。
他、VRモデルハウス内の移動も非常にスムーズに進む(ウォークスルー)のも特徴です。
反面、外観の撮影には向いておらず、屋外のウォークスルーには対応していません。
屋外撮影の為には別途カメラを用意する必要があります。
Matterport Pro2カメラも他の360°カメラと比較しても高額で、導入する際にはよく検討する必要があります。
まずは無料プランをお試しください。尚、無料プランについてはMatterport Pro2カメラは使用できません。
Spacely
Spacely社は、会社と同じ名前のSpacelyという空間データ活用プラットフォームを展開しています。
2016年のサービス開始以来、6,400以上もの事業で導入されている実績と、ユーザーのサービス継続率が98.9%であることからも、満足度が高いサービスを提供していることがうかがえるでしょう。
サービスに必要な専用カメラはありませんので、手持ちの360°カメラですぐ始める事が出来ます。
料金プランも比較的安価な設定がされており、少ない予算でも導入が可能です。
VRを作るだけでなく、ホームステージング(家具配置)などのオプションもございます。
こちらも無料トライアルが可能です。
THETA360.biz
こちらはリコー社が提供している360°コンテンツ作成・公開プラットフォームです。
工学機器等の製造メーカーとして一般的に知名度の高い同社は、360°カメラ「THETA」シリーズの製造・販売もしています。
カメラメーカーのVRサービスなので、カメラとの相性は非常に良好。
スマホ用の専用アプリがあり、スマホとカメラと連携させてデータの転送はもちろん、リモコンシャッターとしての利用やアプリ内でのVR作成も可能です。
PCでのVR作成・編集も非常に簡単に、直感で作業出来ます。
旅行・飲食など様々な業界でも使われていますが、不動産業に於いて特に利用シェアが伸びています。
こちらでもオプションでホームステージングも用意されています。
30日の無料トライアル(VR作成1つのみ、100PVまで)がありますので、試してみるのをお勧めします。
詳細は下記の記事でも紹介しています。
【参照記事】導入企業10,000社以上!VRモデルハウス「THETA360.biz」のススメ
RICOH360 Tours
THETA360.bizと同じく、リコー社が提供する360°パノラマツアー制作サービスです。
2020年より世界でサービスが開始され、2021年7月に日本でも提供がスタートした、新しいVRプラットフォームとなります。
こちらもTHETAシリーズのカメラでお使い頂けます。
AI機能を使った無料のホームステージング(利用数など制限有)や顧客連絡先獲得など、THETA360.bizにはない機能も備わっています。
VR作成数に制限がないのも魅力の一つです。
賃貸物件を数多く持っていらっしゃる不動産会社様に適しています。
無料トライアルは2週間でのご用意です。
terior
VR制作会社ラストマイルワークス社が展開しているのが、CGのVR制作サービス「terior」です。
上記4サービスとの決定的な違いは、更地でモデルハウスを作ってしまう、というところ。
勿論更地ということで、出来上がりはCGパースとなりますが、何もない更地にどういった家が建つのかをCGパースを作成し、実際の写真に合成して再現していきます。
外観だけではなく、内観のバーチャルツアーも作成可能です。
建築確認の番号は出ているが、完成までに室内の様子をお客さまに見てもらいたい、という物件に最適です。
ROOV
スタイルポート社が提案している「ROOV」は新築マンションに特化、VRモデルハウスとオンライン接客ツールを一つにしたサービスです。
通常、新築マンションの販売時はギャラリー(販売センター)内にモデルルームを作りますが、VR室内閲覧ツール「ROOV walk」があれば、その必要もなくなります。
VR化することで、全てのタイプの間取りをモデルルームとしてお客様に見て頂く事も可能。
オンライン接客ツール「ROOV compass」に販売資料も一つにまとめてお客様に提供が出来、営業側も管理のしやすいツールとなります。
「ROOV compass」はログ解析も可能で、お客様の検討の状況も把握しやすく、接客の向上に繋がります。
マンションに特化したVR動画を検討している不動産会社向けのサービスといえるでしょう。
詳細は下記の記事でも紹介しています。
マンションオンライン接客ツールの決定版!『ROOV』のスゴさに迫る!
VRを活用するときの注意点
VR動画を不動産広告などに活用するときは、次の3点に注意しましょう。
- VRでは確認できない点もある
- 物件の周辺情報は見られない
- VR酔い
VRでは確認できない点もある
VR動画ではほとんどの角度から物件内を確認することが可能ですが、すべての角度、すべての視点に対応しているわけではありません。
場合によっては利用者が見たい角度から見られない可能性もあります。
また、時間や天候による室内の明るさ、影なども、確認することが難しいでしょう。
隣り合う物件の様子やその物件によって生じる影などもVR動画では見られないので、実際に内見する場合とは印象が微妙に異なるかもしれません。
物件の周辺情報は見られない
物件内の動画に限定している場合は、隣り合う物件だけでなく周辺情報についても確認が不可能です。
近隣にどのような施設があるのか、また、施設から騒音が生じるのかなども、物件に直接出向かないと確認できないポイントといえます。
通勤通学時に気になる駅から物件までのアクセスなどについても、利用者に実際に行ってみてもらう必要があるでしょう。
VR酔い
VRを視聴することで「VR酔い」を感じる方もいます。
慣れればある程度収まりますが、VR体験があまりない利用者であれば、不快感が長く続くかもしれません。
長時間の視聴を制限する、ソファーなどを置いて休憩するスペースを作るなどの対策も必要になるでしょう。
お子様のゴーグルを使ってのVR視聴も、ご注意ください。
一般的な2眼VRゴーグルは製品または利用目的にもよりますが、目の影響から12~3歳からの使用が推奨されています。
そんなVR酔いしやすい方やお子様向けには、1眼ゴーグルがお勧め。
2眼に比べて没入感が減りますが、ピント調整の必要がないため、酔いにくくなります。
また360°カメラで物件を撮影する際は、手ブレを起こさないよう、必ず三脚または一脚を使用してください。
手ぶれ画像を使用すると、VR酔いを起こす要因となります。
現在手ぶれ補正の機能が搭載されたカメラも登場していますが、三脚などでカメラを固定し、リモコンシャッターを使って撮影することをお勧めします。
不動産案内にVRを導入する費用の目安
VRを自作する場合は機材やサービスによっても異なるので、比較検討するようにしましょう。
360°カメラの相場は2万円~3万円ですが、レベルの高いVR動画を作成する場合はさらに高額になることもあります。
カメラのメーカーでは実際にどのレベルの画質なのか確認できることもあるので、希望する程度の動画を撮影できるものを選びましょう。
また、前述しましたが、カメラを固定するアイテムも購入する必要があるでしょう。
自撮り用スティックなども市販されていますが、手ブレを抑える事は難しく、モデルハウス撮影には向いていません。
通常、カメラでの撮影には三脚を用いますが、360°の動画を撮影するときには脚部が画像に写り込むことがあるので、一脚や専用の三脚を選ぶことが一般的です。
三脚や一脚はカメラ販売店などで数千円程度で入手できます。
動画を視聴するためのゴーグルも必要です。
ゴーグルはボール紙などでできた簡易的なものであれば1,000円ほど、頭に装着するプラスチック製のものであれば1万円~2万円ほどかかります。
また、動画再生のハードとセットになっている場合であれば3万円~8万円以上かかることもあるでしょう。
初期費用を抑えたいときは、スマートフォンで動画を視聴することも検討できます。
画面は小さくなりますが、ハードとディスプレイが一体型なのでコストを抑えられるでしょう。
動画のグラフィック処理なども自分で実施する場合には、一般的なパソコンよりも高い計算能力を有するコンピュータが必要です。
ハードの大きさやその他の機能などにもよりますが、20万円以上かかることもあるでしょう。
自作が技術的または時間的に難しい場合は、業者にお願いするのも一つの方法です。
この場合、360°カメラなど備品の支出を抑えることができます。
目的に合わせたVRを作成しよう
不動産広告の一環としてVR動画を検討するときは、目的に合うレベルのものを作成することが大切です。
不動産のVR動画には、オンラインゲームなどとは異なり、臨場感や複雑な色彩、ストーリー性を求められているのではありません。
利用者が実際に物件を見たと感じられるようなクオリティを維持することが求められています。
不動産業界の案件を多数手がけているプロの動画作成サービスに依頼することで、利用者に求められているクオリティの動画を作成することができるでしょう。
また、動画を視聴するVRゴーグルなどのディスプレイも用意しておく必要があります。
万が一、利用者がVR酔いを起こしたときに休憩できるスペースもあれば、より良いサービスを提供できるでしょう。
利用者目線でVR動画を作成し、集客力増加に繋げていきましょう。
【編集部後記】販売のための必要ツールになるVR内覧
株式会社スタイルポートがVR内覧を活用した住まい選びに関する意識調査を実施。2021年4月に調査結果が公表されました。
【参照】新築マンション購入時の必要ツール2トップはVR内覧とモデルルーム|株式会社スタイルポートのプレスリリース
これによると、新築マンション購入時に必要なツールとしてトップがモデルルーム(43.5%)。2位のVR内覧コンテンツは1位ほぼ同率の42.2%を獲得。3位の間取り図(25.7%)を大きく上回りました。
(出典:スタイルポート社「VR内覧を活用した住まい選びに関する意識調査」より)
「VR内覧ツールを見ればモデルルームに行く必要がない」と答えた方も約半数の50.8%を占め、いかにVR内覧コンテンツが販売のためのツールとしての重要度が高いのかが窺い知れます。
近年はマンションに限らず、住宅展示場などに於いてもVRコンテンツは市場拡大されており、バーチャル住宅展示場のコンテンツやプラットフォームなども登場しています。
実際の住宅展示場はモデルハウスの建築やその維持費、人件費などのコストがかかり、出展企業は大手ハウスメーカー・工務店などに限られていました。
多くの工務店様は分譲地のモデルハウスは建築、その後販売してしまいます。そのため、常時お客様に見て頂けるモデルハウスを持つ事は多くない状況でした。
そんな不動産会社様に、分譲地のモデルハウスを360°カメラで撮影して頂き、自社の住宅展示場または施工事例として、住宅を検討しているお客様にご提案して頂きたいと思っております。
- スムーズな移動と立体空間の再現</span >も可能「Matterport」
- 接客機能も搭載した「Spacely」
- 手軽に高品質 なVRモデルハウスを作成できる「THETA360.biz」、「RICOH360 tours」
- 更地でもCGでモデルハウス</span >を再現出来る「terior」
- 新築マンション</span >に特化した「ROOV」
各社のVRプラットフォームには上記のような特徴がございます。
それぞれ求める要素に合わせ、VRサービスを選択していきましょう。